2015年07月23日

79歳のリサイタルへの思い

ここ数年、自分の誕生日である11月10日に東京で自主公演をするのが慣例になっている。それは自分の誕生日を祝うというよりは、音楽の道に導いてくれた両親に対する挨拶や報告のようなものかもしれない。いまはこんな音楽活動をしています、こんな友達と新たな試みをしています、いかがでしょうか。そんな挨拶をするのにヤマハホールはちょうどよい大きさだ。しっかりした響きで美しさを伝え、緊張感も備えて無駄がない。
 今年は草笛光子さんと一緒に吉松隆さんの新作「KENJI〜宮澤賢治によせる」を演奏する。6月に演奏したヴォーカル、チェロ、ピアノのトリオ版ではなく、草笛さんと私の二人のためのヴァージョンだ。それと、どんなものになるかはまだ分からないが『白髪の恋の物語』(仮題)をやってみたいと思っている。年を重ねる喜び、悲しみ、辛さ、死と隣り合わせと感じる孤独、しかしそこにある潔さ、面白さ、暖かくて悲しくて素晴らしい今をやってみたいのだ。
 私のソロでは末吉保雄の「土の歌・風の声」を演奏する。現代日本の生んだピアノ音楽の傑作だと思っている。そして、こうして並べてくると最初に置くのはバッハ/ブラームスの「シャコンヌ」以外には考えられない。

舘野 泉
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2012年06月08日

舘野泉より 音楽祭開催にあたり。。。

〜己の来しかたを簡単に振りかえらせて頂きたい。〜

私の公式のデビューリサイタルは、1960年に東京芸大を卒業した年の秋で、会場は第一生命ホール。日比谷のお濠端にあり、当時は日比谷公会堂と並んで東京では有数の音楽会場だった。エネスコのソナタ第3番(日本初演)、シューマンのファンタジー、ラフマニノフの前奏曲4曲、それにプロコフィエフのソナタ第2番を弾いた。はやく弾きたくて弾きたくて、演奏会の一週間ぐらい前からホールの前をうろうろ彷徨した。大好きな酒も禁酒したが、あれは一種のセレモニーだったのだろう。後にそんなことはまったく意味がないと気が付き、酒を断つのは生涯やめにした。

 第2回は一年後で、今度は全曲邦人作品。三善晃、平尾喜四男、中田喜直のソナタに宅孝二のソナチネという選曲。そんなもの弾いたって誰もお客さんは来てくれないよと皆に笑われたが、結果は満席で批評も絶賛。三善晃、間宮芳生、それに矢代秋雄は私の若き日の神様たちだったし、中田喜直もまた。

 第3回はその一年後。バッハの平均律第1巻から変ホ短調の前奏曲とフーガを弾いたのを覚えている。バッハを弾いたのはその時限りで、次に弾いたのは41年後、左手のピアニストとしてステージに復帰した時。だがそれ以来弾き続けているから、もう何百回弾いただろう。

 第4回はメシアンの大曲<幼子イエスに注ぐ20の眼差し>の日本初演。その色彩もリズムも華麗で、目が眩みそうで、強い嘔吐感を覚えた。演奏して吐き出さなければいてもたってもいられなかった。当時仲のよかった八村義夫が仲間たちと、「二時間もかかる現代作品を舘野は暗譜できるか」と賭けをするなど、話題にもなった。

 プログラムを決めるのは、とても大事な仕事で夢がある。いまでも自分で気にいっているのは、1969年にストックホルムとオスロのリサイタルで弾いたもので、スクリャービンのソナタ第3番、バルトークの組曲<戸外にて>、矢代秋雄のソナタ、最後にラヴェルの<夜のガスパル>というものだった。オスロのホールには壁一面の巨大なムンクの壁画があったことも忘れられない。

 考えてみれば、芸大を卒業してから52年間、脳溢血で弾けなかった2年間を除いて、毎年東京でリサイタルをしてきた。後には同じプログラムで大阪、札幌、福岡でも演奏会をしたし、全7夜のシューベルトのソナタ全曲演奏会なども加わるから、かなりの数になるだろう。成功もあるし失敗もある。一般の方々には分かりにくいかもしれないが、ここでいうリサイタルとは自主公演のことであり、年間50〜100回行う、依頼された演奏会とは別のものである。曲目を自分で決めるのは勿論、会場、チラシ、ポスターの製作や販売など、経済的責任を全部自分で背負う。その代り、本当に自分が弾きたいものが弾けるのが有難い。

 太平洋戦争の末期、空襲で直撃弾を受けて、私たちの住んでいた上野毛の家が全焼してしまった。8歳だった私は終戦までの数ヶ月を栃木県間中の農家で過ごさせて貰った。

ピアノも焼けてしまったし、裸足の生活だったが、懐かしく忘れられぬ生活だったと、いまでも感謝している。村の小学校は分校で生徒数10数人。住んでいたのは蚕部屋で、夜になり皆寝静まると蚕がさわさわと動く音が聞こえだす。青大将も時々梁を渡っていたし、軒には何匹もの蝮が日干しになってぶらさがっていた。私もまた、夜になるとさわさわと動き出す蚕だと思うのである。もう50年も桑の葉のように音楽を食べてきた。それで絹糸になるのだろうか。分からないが、それでもただ食べたいのである。谷川俊太郎さんの詩の一節が思いだされる。生きのびるために 生きているのではない 死を避けるために 生きているのではない (中略)死すべきからだのうちに 生き生きと生きる心がひそむ 悲喜こもごもの 生々流転の

 今回、全16回に及ぶ「左手の音楽祭」を開催させて頂く。若い頃から音楽家は手職人だと思ってきたし、自分の手も好きだ。こつこつと毎日手仕事を続けるうちに、75歳になったのである。「左手の音楽」といったが、自分では左手だけでやっているとか、なにか特別なことをしているという意識はあまりない。やっているのは「音楽」なのである。

日本ばかりだけでなくフィンランド、アイスランド、アルゼンチン、アメリカなどの作曲家たちが素晴らしい作品を書いてくれ、また書き続けてくれている。今回の音楽祭には入らなかったがオーストリア、アルメニア、エストニアの作曲家たちも、左手のために、これから作品を書いてくれるという。全16回が終わっても、することはまだまだある。今回、シリーズ全部の後援をしてくださるフィンランド大使館、そしてavex-CLASSICS

ヤマハ株式会社、舘野泉ファンクラブの協力に厚く感謝したい。

2004年に復帰演奏会を行った日は5月18日。奇しくも父の命日であった。その時のプログラムに「今年90歳を迎えた母に、今日の演奏を聴いてもらえることを、なによりも有難いと思う」と書いたが、母も昨年8月に97歳の大往生を遂げた。初演曲を書いてくれたノルドグレンもまた、数年前に帰らぬ人となった。私が喜寿を迎える日は<舘野泉フェスティヴァル>の最終日。さあ、それからは?


舘野 泉

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2012年05月22日

舘野泉 フェスティヴァル〜左手の音楽祭〜 2012‐2013

左手は、ピアニストの命であり、音楽の核心である

「舘野泉 フェスティヴァル〜左手の音楽祭」は、舘野泉の左手から生まれる左手ピアノ音楽の集大成です。ピアノを、左手で演奏するという新たな視点からとらえたとき、日本の音楽界に新しい歴史がはじまりました。舘野泉のために書かれた作品を含めた左手ピアノのための名作を2年間で綴ってゆきます。
その全シリーズのスケジュールはこちらです!→ http://ja-pianist.seesaa.net/article/271055772.html

お問合せ:ジャパン・アーツぴあ TEL:03−5774−3040

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2012年03月28日

舘野泉 フェスティヴァル2012-2013記者会見レポート

 舘野泉さんは2012年の今年から2年間かけて計16回のコンサートを行います。
 題して「舘野泉フェスティヴァル」! 現在75歳。ますます意欲的な舘野泉さんの記者会見でした。
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 この日もいつもの変わらない優しい笑顔で話し始めました。
 週末に左手のためのピアノ協奏曲を書いていただいている一柳彗氏とお話したそう。タイトルは「フィンランド」の予定。壮大な構想があるようで楽しみ、と舘野さん。左手の作品をまとめて演奏したいという構想は3年前くらいから。交流のあるウィーンのサスマン教授が「現在、左手のピアノのための作品は日本が、個性的で素晴らしい発展をとげている」と、おっしゃってくださった。いろいろ構想を練っているうちに、ソロ曲だけではなく、室内楽、オーケストラとの協奏曲も、と夢がふくらんできたそうです。徐々に考えをまとめていき、全部で16回、4つのシリーズとして行うことになりました。今回、記者会見をさせていただいているヤマハ・コンサートサロンでも「響きあう小さな部屋で」というシリーズの公演を行います。

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のどが乾いちゃったので…と言い、長年の友人(東京芸大の同級生!)であり、舘野さんのために左手のピアノのための作品も書いてくださっている末吉保雄さんが、左手の世界、左手の演奏技術についてお話くださいました。
 舘野泉さんの演奏は、熟練の域に達している…左手で演奏する時に、鍵盤を折り返してくる時のテクニックなど。新しい世界、地平が開いているのを感じる。
そろそろ、喉の渇きもおさまりましたか?と言って、質疑応答へ

―日々の生活について、気を付けていること。
「食事を作ったり、散歩をしたり、ピアノの練習をして暮れていく。ピアノは夜の10時以降は弾けないので、その後は大好きな焼酎を飲みながらニュース番組などをはしごする。最近はスポーツ選手を取材したものなどもよく見るが、演奏法の解決になるヒントをもらえることもあるんです。

 左手での演奏は長い鍵盤を行ったり来たり、それに左手だけですべてを演奏しなくてはいけないので休む間がない!とても体力が必要なんですね。それに年も年だし、そろそろ筋トレなんていうことも考えなくてはいけないかなぁ、と考えています。」

―海外での演奏活動について。
「ここ4年くらい、海外でも演奏して欲しいという依頼も多くなりました。ブダペスト、ウィーン、トゥールーズ、フィンランド、エストニアなど…また、60年来の夢でもあるモンゴルにも行って、オーケストラと共演する予定もあって、楽しみにしています。」
少しつけくわえたいのですが・・・と末吉保雄先生。
「今回の「舘野泉フェスティバル」は、我々の世代の作曲家による作品から、若手と呼ばれる年代の才能、さらに海外からも意欲的な作曲家にも委嘱するという構想です。時代も時空を超えて新たな指標を示しているのです。」

同世代(同級生!)のアーティストと演奏すると、長い時を重ねた経験、音楽に対する思いなど共有することができる。と同時に息子たちの世代の演奏家との共演も大きな意義があると感じるし、嬉しい。と、舘野さん。
 和やかな雰囲気で続いた記者会見。最後に記念撮影をして終了しました!
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第1回 新たな旅へ…ふたたび〜
2012年5月18日(金) 19時開演 第一生命ホール
曲目:
バッハ(ブラームス編曲): シャコンヌ BWV1004より 
スクリャービン: 左手のための2つの小品 作品9  前奏曲・夜想曲 
間宮芳生: 風のしるし・オッフェルトリウム(舘野泉に献呈)
 ★日本初の左手ピアノ独創曲(邦人作品)
ノルドグレン: 小泉八雲の「怪談」によるバラードU Op.127(舘野泉に献呈)
         振袖火事・衝立の女・忠五郎の話 
ブリッジ: 3つのインプロヴィゼーション 夜明けに・夜のお祈り・酒宴
 ★左手のピアニストとしての復帰を決意させた、息子ヤンネから贈られた楽曲

詳しい公演情報はこちらから
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2012年03月08日

お知らせ!

<出演情報>
●テレビ放送いっと6けん 
3月9日(金)11:05-11:54 放送
NHK総合 首都圏放送局のみ 
http://www.nhk.or.jp/shutoken/6ken/

●ラジオ放送
InterFM Oh!Boy DJ原田節 
http://www.interfm.co.jp/ob/ (同時インターネット放送あり)
放送対象地域:関東広域圏
(ゲスト舘野泉 2回)
2012年3月10日(土) 21:30-22:00 
2012年3月17日(土) 21:30-22:00
 
<コンサート情報>
舘野泉左手の音楽祭ついに始動!!
2012年5月18日(金) 19時開演 第一生命ホール
http://www.japanarts.co.jp/html/2012/piano/tateno_vol1/index.htm
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2012年01月05日

2012年の大河ドラマ『平清盛』のテーマ曲に舘野泉が参加

2012年の大河ドラマ『平清盛』のテーマ曲に舘野泉が参加!作曲は吉松隆です。


≪関連情報≫
第一回目放送
2012年1月8日(日)[総合]午後8:00
オフィシャル・ホームページ

NHK FMシンフォニーコンサートの収録
2012年1月22日(日)鹿沼文化センターにて
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:高関健、Vn:木嶋真優
アンコールに紀行の音楽を演奏する予定です。

「平清盛」オリジナル・サウンドトラック発売
2012年2月1日(水) 
アーティスト名:吉松隆
品番:COCQ-84927
価格:\2,940 (2,800)

NHK前橋局のイベント 「大河ドラマとオペラの音楽」
2012年2月4日(土) 群馬音楽センターにて
オーケストラ:群馬交響楽団 トーク:吉松隆、ピアノ:舘野泉
テーマ曲の演奏とアンコールには紀行の音楽が演奏されます。

テーマ曲の音楽配信スタート!
2012年1月11日(水)より
詳しい情報はNHKサイトへ

◆ヤマハのサイトより楽譜配信スタート!
2012年1月11日(水)より
「平清盛」テーマ (フルスコアとパート譜セット)パート譜のみ単品買い可
「夢詠み・・・紀行」(ピアノ)
「夢詠み・・・紀行」(ヴァイオリンとピアノ)
「夢詠み・・・紀行」(左手ピアノ)
「夢詠み・・・紀行」(ヴァイオリンと左手ピアノ) 
ぷりんと楽譜: http://www.print-gakufu.com/
@Elise: http://www.at-elise.com/
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2011年10月24日

掲載情報(YAMAHAピアノスト・ラウンジ)

YAMAHA WEB ピアニスト・ラウンジ に舘野泉が登場しました。
2011年12月ヤンネ舘野&舘野泉のデュオ公演についても話しています。

こちらからご覧ください。
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新たなる大樹へ
≪ヤンネ舘野&舘野泉 デュオ・リサイタル≫

2011年12月11日(日) 14時開演 東京文化会館 小ホール

曲目:
石田一郎:ヴァイオリン・ソナタ第2番  (ピアノ:平原あゆみ)
平野一郎:精霊の海 〜小泉八雲の夢に拠る〜 
谷川 賢作:スケッチ・オブ・ジャズ2 舘野泉&ヤンネ舘野に捧げる
 アンリーズナブル パッション(ガトー・バリビエルに)
 ア ソング アフター ダーク(マル・ウォルドロンに)
 エンドレス エクスキューズ(マッコイ・タイナーに)
コルンゴルト: 2つのヴァイオリン,チェロ,左手ピアノのための組曲 作品23

公演の詳しい情報はこちらから

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2011年07月25日

震災チャリティコンサートinフィンランド

2011年8月18日 震災チャリティコンサートinフィンランド

ピアニスト舘野泉プロデュースにより、ヘルシンキにおいて東日本大震災のためのチャリティコンサートが行われます。これは、福島県南相馬市にある文化会館の名誉館長を長年つとめている舘野氏の「祈り」です。名誉総裁に在フィンランド日本大使館丸山博特命全権大使を迎えて、舘野泉を中心とし、舘野泉のために書かれた作品を、息子でヴァイオリニストのヤンネ舘野がコンサートマスターをつとめる、ラ・テンペスタ室内オーケストラをはじめ、多くのフィンランドの演奏家が無償で演奏に参加します。演奏される作品はすべて邦人作品であり、日本で誕生した素晴らしい左手ピアノのための作品(ソロ・室内楽・協奏曲)がまとめて紹介される貴重な公演です。

舘野泉 チャリティ コンサート イン ヘルシンキ(フィンランド)
Tateno & His Friends “Aid to Japan
”東日本大震災・南相馬市市民文化会館復興のために

2011年8月18日(土) 19:00開演  テンペリアウキオ教会
チケット代金 30ユーロ
Temppeliaukio Church Lutherinkatu 3 FI-00100 Helsinki

<曲目>
間宮芳生 : 風のしるしーオッフェルトリウム
Michio MAMIYA:Wind Wrougdht‐Offertorium(Dedicated Mr.Izumi Tateno)
IZUMI TATENO(Pf)

吉松隆:優しき玩具たち 左手ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、クラリネット、トランペットのために
Takashi YOSHIMATSU: TENDER TOYS SUITE (Dedicated Mr.Izumi Tateno)
IZUMI TATENO(Pf)、JANNE TATENO(Vn)、ERKKI RAUTIO(Vc)、HARRI MAKI (Cla)、JOUKO HARJANNE (Trp)

末吉保雄:アイヌ断章 左手ピアノ、フルート、コントラバス、打楽器のために
Yasuo SUEYOSHI:5 flagments d’Ainou – quatuor pour pf(mg),fl,cb & perc. (Dedicated Mr.Izumi Tateno)         IZUMI TATENO(Pf)、野津如弘(Cond)

吉松隆:ケフェウス・ノート 作品102  左手のためのピアノ協奏曲
Takashi YOSHIMATSU : Cepheus Note Op.102 (Dedicated Mr.Izumi Tateno) 
       Concert for piano left hand and chamber orchestra         
IZUMI TATENO(Pf)、 La Tempesta Chamber Orchestra/野津如弘(Cond)

私は自分にいま出来ることを、それがどんなに小さなことでも、こつこつとやっていくことが大切だと思っています。9年前に脳出血に襲われて半身不随になったときも そうでした。ひとつひとつの積み重ねがいかに遅くても、いかに些細なことに思えても、前向きに取り組んでいくことが大事だと思います。 このコンサートははじめ、私の演奏生活50周年 記念として計画されていましたが、3月の東日本 大震災のあとで、南相馬市民文化会館復興のためのチャリティコンサートに変更されました。私は同会館の名誉館長をしております。当夜の演目はすべて日本人の作品で、それを日本とフィンランドの演奏家たちが演奏いたします。 私のほか、指揮に野津如弘、オーケストラはラ・テンぺスタ室内オーケストラで、フィンランドの著名な演奏家もすべてボランティアで出演します。収益はすべて福島の南相馬市民文化会館の復興のために寄付されます。 
舘野 泉
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2011年06月20日

舘野泉コンサート鑑賞 in フィンランド

2011年8月16日〜22日
フィンランド・ツアーのご案内
舘野泉チャリティコンサート鑑賞 in フィンランド

スライド1.JPG  スライド2.JPG

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2011年06月17日

NHKBS旅のチカラ6月21日

旅のチカラ「舘野泉編」.jpg

舘野泉放送のお知らせです。たっぷりおよそ60分の番組ですので、是非、ご覧下さい!
番組名 旅のチカラ  「未来を奏でるオーケストラ 〜フィリピン・セブ島〜」 
旅人:舘野泉 放送局 

NHK BSプレミアム 放送日時  
6月21日(火) 午後8時〜8時57分

再放送日時 
6月23日(木) 午前8時30分〜9時27分
6月25日(土) 午前7時45分〜8時42分
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2010年10月29日

お客様より公演の感想が届きました。(演奏生活50周年記念公演ツアー)

札幌公演(10月22日)および福岡公演(10月26日)が終わり、いよいよ東京公演(11月10日東京オペラシティ)です。これまでの公演地より演奏会に足を運んでくださったお客様より感想が届いています。

*良かった曲:「優しき玩具たち」 20代男性
吉松隆「優しき玩具たち」がとても面白かった。プログラムに「悲しい曲に笑い、楽しい曲に泣くのが大人になるということなのかもしれない」とあった舘野さんの言葉を思いながらきくと、また、感慨深い気持ちにもなった。 

*良かった曲:「アイヌ断章」 30代男性
新しいピアノの世界に触れた気がしました。感謝をこめて、今日はありがとうございました。

*よかった曲:「アイヌ断章」「優しき玩具たち」 67歳 男性
新しい音楽世界をきかせていただき、ありがとうございました。父子また、兄弟、そして同級生という共演で聴けたことがまた幸せに思いました。ぜひまた近いうち今回のようなプログラムで聴かせていただきたいと思います。舘野さんのますますのお元気なお姿に励まされています。アンコールのアンサンブルは圧巻でした。

*よかった曲:「風のしるし」「アイヌ断章」 70代女性
舘野さんの若いときからのファンなので、左手だけの演奏は痛々しい思いもあるのですが、いつも真摯に自然にピアノを弾いていらっしゃるお姿を見、その力強く美しい音を聴いて、励まされる思いがしました。最近、アメリカ原住民の書いた詩を読んだばかりでしたので、「風のしるし」にも「アイヌ断章」にも、大自然に対する感受性の強さなどに通じるところがあり、まるでその大自然に浸っているようでした。どの曲もユニークな素晴らしい曲で、楽しい演奏会で本当にきてよかったと思います。友人に囲まれて、まるで舘野さんの友情の結晶のようで本当に心あたたまるものばかりでした。「愛」の結集した音のしずくを心の中にためて帰り、反すうしたいものです。

▼公演情報は下記より▼
演奏生活50周年記念公演ツアー
 
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2010年10月21日

NEWS!!演奏生活50周年記念公演ツアーはじまる!

新作の室内楽作品を携え、
いよいよ舘野泉演奏生活50周年記念公演ツアーはじまる!


flyer.jpgPDFファイルはこちら













<2010年>
10月22日 19:00 札幌  札幌コンサートホールKITARA 小ホール
10月26日 19:00 福岡  福岡銀行本店ホール
11月10日 19:00 東京  東京オペラシティ コンサートホール
<2011年>
  2月 6日 14:00 大阪   いずみホール

今回演奏するソロ作品2曲のうち、間宮芳生さんの<風のしるし・オッフェルトリウム>は僕の命と云っても云いすぎではない。風の神は命を与えてくれ、僕はこの曲を支えにまた起きあがったのだ。一方cobaさんの<記憶樹>は僕の感覚とも繋がっている生命体。この2年の間に日本はもとよりミュンヘン、ウィーン、トールーズ、ヘルシンキなどで数十回の演奏を重ねてきたが、その強烈な充実度は何処でも圧倒的な感銘をもたらした。末吉保雄さんの<アイヌ断章>には少年の日から持っていたアイヌへの関心もあり、いろいろな感慨が交錯する。「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」という。
美しいアイヌ神謡集に感銘を得、二羽の鴎が両翼を伸ばしたようにふたりで舞う海への感謝の終曲まで、この作品の凝縮度は素晴らしい。叶わぬ願いだが、室蘭に育ち、常にアイヌ民族に深い関心を持ちつづけた母(もうすぐ97歳になる)に、この実演の場に居て欲しかった。いくらなんでもそれは無理!そんな編成の作品は「ありえない」と云いながら、<優しき玩具たち>で素晴らしい吉松ワールドを創ってくださった吉松隆さんには感謝してもしきれない。子供が開ける「おもちゃ箱」ではなく、大人が開ける玩具箱。23年前に他界した父が聴いたらさぞ喜んだろう。悲しい曲には笑い、楽しい曲に泣くことを知っている人だった。この曲を東京と大阪で演奏してくれる浜中浩一と北村源三は、それに末吉保雄も僕の芸大の同級生だ。弟ももう70歳、息子はその半分の35歳である。玩具箱には様々な人生模様が詰まっているが、なんといっても演奏生活50周年を迎えられたことを父と母に感謝したい。また「左手の文庫・募金」に協力してくださった方々にも厚くお礼を申し上げる。皆さまのお陰で今回は素晴らしい室内楽の作品が二曲誕生した。今後も左手の、そして両手でも右手でも弾ける室内楽作品が生まれでてくれることを願っている。
舘野 泉 (演奏生活50周年記念公演プログラムより)

〜プログラム〜
★間宮芳生:
風のしるし・オッフェルトリウム(04年舘野泉に献呈) 
作品解説はこちら

★末吉保雄:四重奏曲「アイヌの断章」
〜左手ピアノ、フルート、コントラバス、打楽器のために
(演奏生活50周年を祝し 舘野泉に捧げる/「舘野泉左手の文庫」助成作品) 
作品解説はこちら

★Coba:記憶樹(「舘野泉左手の文庫」助成作品 08年舘野泉に献呈) 
作品解説はこちら
 
★吉松 隆:組曲「優しき玩具たち」 
〜左手ピアノ、クラリネット、トランペット、ヴァイオリン、チェロのために
(舘野泉に捧げる/「舘野泉左手の文庫」助成作品) 
作品解説はこちら

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2010年08月13日

【舘野泉 演奏生活50周年記念公演】記者会見レポート

一昨日フィンランドから帰国したピアニスト舘野泉氏の【演奏生活50周年記念公演】記者会見が、8月2日に行われました。
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舘野氏の他に、東京・大阪公演で共演するトランペット奏者の北村源三氏、クラリネット奏者の浜中浩一氏、今回のツアーで世界初演される作品の作曲家 末吉保雄氏、吉松隆氏、舘野と三手連弾作品のレコーディングが予定されている平原あゆみさんが登壇し、今年10月から始まる【舘野泉 演奏生活50周年記念公演】の詳細、このアニバーサリー・イヤーにリリースされるCDの概要が発表されました。
2002年に脳溢血で倒れ、2004年に左手による演奏会で復帰、積極的な左手のピアノ作品・室内楽作品の委嘱など積極的な活動を行う舘野泉。実は東京芸術大学の同級生だったという舘野氏、北村氏、浜中氏、末吉氏4名が学生時代の思い出などを話し、あたたかい雰囲気の記者会見になりました。
最初に、舘野氏が南フランスの作曲家デオダ・ド・セヴラックの遺族から献呈されたという感謝の記念メダルと歌曲のオリジナル譜を披露。長年セヴラックの作品を愛し、10年前「デビュー40周年記念」としてCDをリリースした舘野氏の嬉しそうな顔が印象的でした。
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今年のデビュー50周年記念コンサートで演奏する作品は、2004年日本で初めて作られた左手のピアノ曲、間宮芳正「風のしるし・オッフェルトリウム」、舘野氏がお母様の影響で、小さいときから印象深く感じていたアイヌの詩、民話などがインスピレーションを与えている末吉保雄「アイヌの断章」、各地で演奏すると大きな反響を呼ぶCoba「記憶樹」、同級生トリオ(舘野、北村、浜中)と息子のヤンネ舘野(ヴァイオリン)、弟の舘野英司(チェロ)が演奏する吉松隆「優しき玩具たち」の予定。
中でも末吉作品、吉松作品は世界初演ということもあり、作品が出来上がるのが9月の予定。「まだ出来ていないので何も言えないけれど、ただ楽しみ」とにこやかに話していました。
引き続き行われた質疑応答の様子を一部ご報告します。

Q:今から50年前、デビュー当時の思い出、エピソードを披露していただけますか?
舘野:デビューのために燕尾服というものを父親と一緒に仕立て屋さんに行って作ってもらったのですが、当時はまだ燕尾服、というものがどういうものか、その仕立て屋さんも判っていなかったみたいで「こんな感じの服ですね・・・」「ええ、こんな感じです・・・」というやりとりで仕立ててもらったところ、何となく着心地の悪い肩がピンとあがった燕尾服になってしまって・・・。それで燕尾服が嫌いになってしまったんですね。その後は着ていても演奏していても自由で気持ちが良くて、見ても美しいという服をコンサートで着るようになりました。今でこそ、いろいろな服を着てコンサートを行う方がいますが、当時はとても珍しかったと思います。
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Q:同級生の皆さん、北村源三さん、浜中浩一さん、末吉保雄さん、どんな学生時代だったお話いただけますか?
北村:学生時代の管楽器科というのは体育会系のような部分があって、我々なんかは舘野くんや末吉くんからは敬遠されていたんじゃないかなぁ。それが社会に出てコンサート活動を続けているうちに、みんながんばっているんだ、ということが判ってきました。数年前に70歳以上の演奏家が出演する「グレートマスターズ」のコンサートで再び舘野くん、浜中くんと会って、それが今回の共演につながっているんだと思います。
浜中:学生時代、そして演奏家として活動するようになってからは、ただただ「夢中」になって音楽をしてきました。それが歳をとってきてから、再び同級生が近くなってきた・・・というふうに感じています。東京藝術大学では学内演奏会で演奏する(しないと単位がもらえない)という機会があり、、大学2年生のときに奏楽堂でブラームスのクラリネット・ソナタを舘野くんに一緒に演奏してもらいました。
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末吉:僕は作曲科とはいえ、オーケストラの中でピアノを演奏したり、伴奏をすることが作曲を学ぶ大事な勉強だと思っていたので、ピアノ科の友達、舘野くんなどと一緒にお昼ご飯を食べたり、一緒に行動することが多かったですね。
卒業後はしばらく別々のことをしていたのですが、セヴラック協会の活動を通じて再び一緒に音楽することになりました。舘野くんのコンサートは大きな都市でのものから、小さな村でのものまでいくつか一緒に行って聴かせてもらいましたが「お客さんに話しているように感じられる演奏で、それぞれに感激してまた家に帰っていく」という姿がとても心に残る素晴らしい演奏家だと思っています。
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Q:それではリサイタルで同じく世界初演の作品を作曲してくださる吉松さんからもひとことお願いします。
吉松:舘野さんに演奏していただける作品を書くことはとても光栄で、いつもいろいろな冒険、無理じゃないかな・・・と思うようなことも書いてきたのですが、いつもそれを素晴らしく演奏してきてくださっていました。その逆襲(!)なのかもしれませんが、ピアノ、クラリネット、トランペット、ヴァイオリン、チェロのための作品を書いて・・・だなんて、今は四苦八苦しています。この「優しき玩具(がんぐ)たち」というのは、もちろん「悲しき玩具たち」から来ているのですが、笑わせるようなところも入れてみたいな・・・なんて思っています。
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Q:とても顔色も良く、ごお元気そうにお見受けしますが、何か健康の秘訣がありましたら教えてください。
舘野:特になにもないんですよね・・・。お酒を控えてと言われているけれども、一度やめた好きなことをやめてしまうようなヤワじゃないし・・・。焼酎が好きで前ほどではないけれども3杯くらい飲んでいます。お医者様も嫌いで行かないけれども、数年前から良い整骨院の先生に出会って通っています。ゆっくり身体の調子を整えながら、自然に、自分で治していく・・・という方法が気に入っています。またピアノを演奏するというのは手だけで演奏するわけではないんですね。身体全体で、呼吸や心とともに演奏しているので、それも良いんだと思います。今では右手も上がり、後ろに手が回るようになりました!
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Q:脳溢血で倒れられて「演奏家としては終わりだ」と思われたと、チラシに書かれていますが、ふたたび舞台に戻られた今、舘野さんにとっての音楽とはどのような存在でしょうか?
舘野:小さいときから音楽は当たり前のようにありました。空気のように音楽があったんですね。生きること=呼吸をすることであり、呼吸することは音楽すること、そしてそれが幸せだと感じています。
途中、舘野氏の唯一の弟子であり、演奏会に同行することにより、演奏、音楽との接し方、生きかたなどを学んでいる平原あゆみさんからも挨拶があり、最後に記念撮影を行いました。
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【演奏生活50周年記念公演】の詳細はこちらをご覧ください。

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2009年12月25日

-放送のご案内-

笑顔のしおり 〜世界にひとつだけの物語〜
2010年1月17日(日)
BS-TBS 22:00〜22:30
舘野泉出演いたします。
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2009年11月20日

舘野泉ピアノリサイタル〜彼のための音楽を彼が弾く Vol.3

舘野泉のために書かれた新作・委嘱作品によるリサイタルが、11月17日、福岡あいれふホールからスタートしました。
今回は、30代から40代の若い作曲家によるもので、躍動感と新鮮さと叙情的な美しさに満ち、魅力あふれる作品がそろっています。

「マグヌッソンの長大なソナタは感動的でした!」
「アメリーの組曲の愛らしさとハーモニーの美しさに心うたれました!」
「静かで叙情的な味わい深い”いのちの詩”でした」
「わたしは、最後のエスカンデのディヴェルティメントが、心躍るようで
 一番好きでした。」
という感想が届いています。

これからの予定は、
■11月26日(木)札幌:札幌コンサートホール オフィス・ワン  TEL 011-612-8696
■11月29日(日)大阪:イシハラホール 大阪アーティスト協会 TEL 06-6135-0503
■12月01日(火)東京:東京文化会館(小) ジャパン・アーツ  TEL 03-5237-7711

コンサート曲目はこちら

是非、皆様のご来場をお待ちしています。
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2009年11月19日

野 泉ピアノリサイタル2009

野 泉ピアノリサイタル2009
彼のための音楽を 彼が弾く Vol. 3 4カ国の作曲家による委嘱作品

<プログラム>
C. ライト〈アメリカ〉:アメリーのための組曲
「舘野泉 左手の文庫」助成作品
 1. ファンファーレ  
 2. リフレクション  
 3. アライヴァル

T. マグヌッソン〈アイスランド〉: ピアノ・ソナタ
「舘野泉 左手の文庫」助成作品
 第1楽章 
 第2楽章 主題と変奏

*****休憩*****

木島由美子〈日本〉: いのちの詩
(NPO法人)山形の音楽活動を応援する会・Mプロジェクト委嘱作品
 1. 翠雨 
 2. 紅蓮の池
 3. 月読
 4. 樹氷原にて
 5. 桃花水

P. エスカンデ〈アルゼンチン〉:ディヴェルティメント
「舘野泉 左手の文庫」助成作品
 第1楽章 プレリュード
 第2楽章 テーマとヴァリエーション“ セファルディム”(ユダヤ・スペイン系の古い歌) 
 第3楽章 アダージョ
 第4楽章 ダンス


〜4カ国の作曲家による委嘱作品に寄せて〜
野 泉

  この11月10日で73歳になった。65歳で脳出血に倒れ、半身不随になってからは8年になる。実のところ、病から立ち直ってこんなに長く生きられるとも、ましてや、こんなに長くピアノが弾けるとは想像だにしていなかった。ただ一日一日を生き、一日一日ピアノを弾いてきただけである。人間は自分の置かれた状況を認めて素直に生きるしかないものだと思う。ピアノに触れて音が響きだすと、いつも私は生き返ったように思い、精神が冴え冴えとしてくるのを覚える。毎日のその積み重ねが作曲家たちの心にも届き、聴衆の心にも響いていくのだろう。有難いことだ。 

 四年前に「舘野泉・左手の文庫(募金)」を創設した。圧倒的に不足している左手のためのピアノ作品を委嘱し、左手による演奏が決して不自由なものではなく、ひとつの独立した音楽の分野あることを認識して貰いたいという気持ちからだったが、多くの方々が賛同してくださり、そのお陰で数々の左手の作品が誕生した。厚くお礼を申し上げたい。

 今回演奏する四作はアメリカ、アイスランド、日本、アルゼンチンと、いずれも国籍は異なるが、30代から40代の作曲家達の新作である。作品を委嘱するにあたって私は何も特別な注文はつけていない。まったくの偶然だが、今回のコンサートは冒頭にDivertiment的な性格のC・ライト作品、そして終わりにP・エスカンデのDivertimentという形になった。その間に、緩やかなテンポでたおやかな情感が歌われていく木島由美子の「いのちの詩」が入る。この作品は(NPO 法人)山形の音楽活動を応援する会・M プロジェクトの委嘱作品だが、地方にこのような活動が更に広がっていくことを切望したい。しかしなんといっても今回のメインはT・マグヌッソンのソナタである。これは途方もない作品である。巨大で緻密で大らかでひたむきで美しく純粋な精神の結晶である。原始の人間が初めて鯨を見た時に感じたであろう畏怖の念とはこんなものかもしれないと私は思った。演奏技術の難しさにおいても古今のあらゆるピアノ曲の最先端に属するであろう。しかし技術はそれ自体が目的ではない。この曲を弾きこなすには何年もかかるだろう。でも、私は命がある限り、この作品と付合っていきたい。

 来年11月には74歳になり、演奏生活 50周年を迎える。東京、大阪、札幌及び福岡で記念演奏会をするが、そのために間宮芳生、末吉保雄、吉松隆の諸氏には既に新作をお願いしている。全部室内楽作品でクラリネット、トランペット、打楽器、コントラバス、ヴァイオリン、チェロなどを含む華やかなプログラムが出来るだろう。クラリネットは濱中浩一、トランペットは北村源三と、私の藝大時代の同級生が共演してくれる。そういえば末吉保雄も同級だった。楽しみにしていてください。


<曲目解説>
コーディー・ライト:アメリーのための組曲
1. ファンファーレ 
2. リフレクション 
3. アライヴァル
 「アメリーのための組曲」は作曲家の長女の誕生を記念して、ピアニスト野泉より委嘱された作品である。三曲ともある有名な子守唄に基づいており、全てのモチーフ的素材はこの子守唄に由来する。聴衆は、各曲にこの子守唄の断片を聴き取ることができるかもしれないし、またそれを見いだすことができなかった者に対しては、作品の最後に答えが提示されている。 (C . ライト)

C . ライト プロフィール
米国カリフォルニア州、サンディエゴに生まれる。 2000年、ニューイングランド音楽院卒業。 2004年、カーネギーメロン大学音楽学部大学院修了。2004年春、オーケストラのために作曲された「トンペルデュTemps Perdu」がハリー・ G. アーチャー記念賞を受賞。現在、カリフォルニア州に在住。 コーディー・ライトの作品は、 サントリーホール(東京)、 カーネギーホール(ニューヨーク)、ラ・スコラ・カントールム(パリ)をはじめ、米国、ヨーロッパ各地において公演されている。 作品の初演を手がけてきたのはニューヨークを拠点とするフラックス・カルテットおよびイエサラン・デュオ、ピアニスト舘野泉、セルゲー・シェプキン、鍋島真穂などである。なかでも、打楽器とサクスフォンのために作曲された「デイドリーム Daydream」(2002)は好評を得て、各地にて繰り返し演奏されている。


ソールデュル・マグヌッソン :ピアノ・ソナタ
 左手のためのソナタは、野泉の委嘱により2007年〜 2008年の冬に作曲された、30分ほどの曲である。
 二つの主要な楽章で構成され、第1楽章の形式はソナタ形式に似ており、第2 楽章は主題と変奏である。第2楽章の終わりで最後の変奏が第1楽章の素材に溶け込んでいく。
 この第2楽章には、長い間「盗まれたアイデア」という作業用タイトルがついていた。かなり前に14小節の短い主題を書いていたのだが、ノート・パソコンを盗まれて失くしてしまったのである。後日その曲が、このソナタの第2楽章の主題にぴったりだと気づき、どんな曲だったかを正確に思い出そうとしたが、作曲したときは1時間足らずで書き上げたのに、それを思い出すだけで2週間近くもかかってしまった。
第1楽章は、テンポI:=69 テンポU: =104 の2つのテンポの間を次のように何度か行き来する:
テンポI → テンポU → テンポI  →テンポU → テンポI → テンポ U →テンポI    
第2楽章 =52  
(T . マグヌッソン)

T . マグヌッソン プロフィール
アイスランドを代表する作曲家の一人。初めて書いた交響曲で2004年のノルディック・カウンシルの音楽賞にノミネートされ、アイスランド音楽賞の2004年ベスト・クラシックピース・オブ・ザ・イヤーを受賞、また2003年にもピアノ三重奏曲でもベスト・クラシックピース・オブ・ザ・イヤーを受賞している。T.マグヌッソンはアイスランドの作曲家の中では若い世代に属する。レイキャビク音楽大学でG.ハフスティンソンに師事し、1996年に作曲の学位を取得。その後パリ国立高等音楽・舞踊学校に入学を認められる。パリ滞在に関連してエマヌエル・ヌネス等に師事。アイスランドに帰国以来、数々の曲を作曲して注目され、CAPUT、トリオ・ノルディカ、アイスランド交響楽団、イーソス弦楽四重奏団等によって演奏されている。


木島由美子:いのちの詩 
 どんなに大事件が起ころうと、どんなにひとが苦しもうと、どんなに戦争しようと、どんなにひとが死のうと、季節はめぐり、いのちはめぐります。めぐるいのち…生きることとは、愛すること。愛があれば未来につながります。愛があるから、何があっても生きなくては…と思います。全編に「love」を音列に置き換えたモチーフ「E・A・ A・E」をちりばめました。四季それぞれを連想させるキーワードをもとに、5曲で構成しました。

1. 翠雨: 若葉にふる雨の音楽。

2. 紅蓮の池: 夏に咲く紅蓮、地獄の炎にも例えられる紅蓮、美しさ、逞しさ、激しさを。

3.月読: 日本古来の月の神様の名前が「月読( つくよみ)」です。呼びかけあうように。神様が呼びかけるのは…だれ?

4.樹氷原にて: 世界的に有名な山形の樹氷をイメージしました。静かに、荘厳に。

5.桃花水: 桃の花が咲く頃に流れ出す水、つまりは雪解け水のことをさす言葉です。せつないワルツを。

 季節がめぐると、冒頭の雨の音楽に戻ります。何事もなかったかのように…。
 (木島由美子)

木島由美子 プロフィール
福島県相馬市出身。4歳よりヤマハ音楽教室にて学ぶ。佐藤幸子氏に師事。山形大学教育学部特設音楽科卒業、同研究科修了。作曲、編曲を藤原義久氏に師事。平成13年、山形県民ミュージカル「花咲平は夢の里」の作曲より、本格的に作曲活動開始。社団法人日本作曲家協議会、JFC 東北、JASRAC、山形市児童劇研究会、各会員。聖和短期大学講師。



パブロ・エスカンデ:ディヴェルティメント
 ディヴェルティメントは、日本語で嬉遊曲と訳されているが、イタリア語で娯楽という意味を持つ。最初にディヴェルティメントという言葉が使われたのは、1681年のグロッシの作品であった。その後フィッシャー、ドゥランテなどにより使われ、ボノンチーニによって様式が確立される。古典派の時代に最も盛んだったディヴェルティメントは、カッサシオン、セレナーデ、ナハトムジークなどと同じような意味合いを持っていた。主に、演奏者と聴衆に歓びと癒しを与えること、貴族の食卓、娯楽、社交、祝賀などの場で演奏されることを目的とされていた。ロマン派では一度廃れたが、20世紀はバルトーク、ストラヴィンスキー、ジャン・フランセなどにより復活した。
 私が作曲したディヴェルティメントは、4つの異なった楽章から成る。全ての楽章は4度音程で関連づけられていることで、8つの調を通って締めくくるようになっている。様式はネオ・バロックで、ギリシャ旋法を用いた。

 第1楽章のプレリュードは、ゆっくりとした導入から始まり、緊張感を高めながらアレグロのパートに到達する。軽やかなアレグロは、対位法的で2部形式によりできている。
 第2楽章のテーマとヴァリエーションの主題は、セファルディム(ユダヤ・スペイン系)の古くから伝わる歌を用いた。この主題を基に4つの変奏が繰り広げられる。4つめのヴァリエーションでクライマックスに達した後、カデンツが続き、最後に再び主題が現れる。
 第3楽章のアダージョは、大変穏やかで平和に満ちた曲である。静寂の中にいる自分自身の経験と日本の庭園に見出したものをこの曲に込めた。
 第4楽章のダンスは、アダージョとは対照的に、ヴィルトゥオーゾで生き生きとした推進力のある曲である。ABA形式で書かれている。

 ディヴェルティメント本来の意味である “楽しみ”を、作曲家、演奏家だけでなく、聴衆の方々にも感じて頂けたら嬉しく思う。 (P . エスカンデ)

P . エスカンデ プロフィール
1971年アルゼンチン生まれ。1990年にブエノスアイレスの音楽院にて「Maestro Nacional de Musica」を取得。その後オランダに渡り、J.オッホのもとでチェンバロとフォルテピアノを、アムステルダムの旧スヴェーリンク音楽院でR.ライナに作曲を学ぶ。オランダ、オーストラリア、アメリカ、スペイン、日本他各国から委嘱を受け、色々 なジャンルの作品を作曲している。また、チェロオクテット“コンフント・イベリコ”の専属アレンジャーとしても活躍中。2007年アメリカアリエノール作曲コンクールにて名誉賞を受賞。野泉氏の委嘱により、ヴァイオリンと左手のピアノのための小曲、ノクターンを作曲している。
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2009年11月12日

2009年の新作委嘱作品に寄せてのメッセージ

 この11月10日で73歳になった。65歳で脳出血に倒れ、半身不随になってからは8年になる。実のところ、病から立ち直ってこんなに長く生きられるとも、ましてや、こんなに長くピアノが弾けるとは想像だにしていなかった。ただ一日一日を生き、一日一日ピアノを弾いてきただけである。人間は自分の置かれた状況を認めて生きるしかないということだろう。でも、それは幼い時から自分には当然のこととして理解されていたように思う。私は夢とか理想、将来の計画というものを持ったことがないが、逆に言えば、夢や希望は常に身の周り、心の中にあったのだろう。理想や計画は持たなくても、ひとつの事をやりとげると、それが自然に次のことを生みだし発展し広がっていった。百の失敗を重ねているとひとつの霊感が生まれてくるようにも思えた。
 四年前に「舘野泉・左手の文庫(募金)」を創設した。圧倒的に不足している左手のためのピアノ作品を委嘱し、左手による演奏を不自由なものではなく、ひとつの独立した音楽分野として認識して貰いたいという気持ちからだったが、多くの方々が理解を示され、そのお陰で数々の左手の作品が誕生した。厚くお礼を申し上げたい。
 今回演奏する四作はアメリカ、アイスランド、日本、アルゼンチンと、いずれも国籍は異なるが、30代から40代の作曲家の新作である。委嘱にあたり私は何も特別な注文はつけていない。C・ライトの「アメリーのための組曲」は作曲者の長女の誕生を祝う曲だが、明るく生気に満ち、ディヴェルティメント的な性格を強く持っている。P・エスカンデの「ディヴェルティメント」では第2楽章がスペインのユダヤ旋律による古歌で、憂愁の印象が強いが、曲全体としては演奏する歓びが溢れる。その間に、全曲が緩やかなテンポでたおやかな情感が歌われていく木島由美子の「いのちの詩」が入る。そしてT・マグヌッソンのソナタである。巨大で緻密で大らかでひたむきで美しく純粋な精神の結晶である。演奏技術の難しさにおいても古今のあらゆるピアノ曲の最先端に属するであろう。しかし、技術はそれ自体が目的ではない。この曲を弾きこなすには何年もかかるだろう。でも、私は命がある限り、この作品と付き合っていきたい。素晴らしい作品がそろいました。
楽しみにしていてください。                       

舘野 泉

≪公演情報≫
2009年12月1日(火) 19時開演 東京文化会館 小ホール
プログラムなど詳細はこちらから
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2009年11月10日

朝日新聞 〜連載記事〜

2009年11月9日(月)〜13日(金)

朝日新聞(夕刊)
「人生の贈りもの」


舘野泉の5回の連載記事がはじまりました!!
今週、おたのしみに!
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2009年08月26日

ミュンヘンでのリサイタル報告

7月28日 18:15よりミュンヘンの音楽大学大講堂にて 舘野さんのコンサートが行われました。(写真は音大の正面 ホールはむかって右)

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7月28日、ミュンヘン音楽大学での舘野さんの友情演奏会はとてもすばらしいも のになりました。聴衆は300人。多くは、ミュンヘン在住の日本人の方々となり 、奏者と聴衆の暖かいコミュニケーションが生まれて、とても血の通った感動の 演奏会になりました。実際にピアノを学んだ人たちが多かったので、厳しい聴衆 だったとも言わねばなりませんが、舘野さんの人間が心を打ち、中には恍惚とし て帰路についた人も居たようです。音楽に贅沢なミュンヘンでも珍しい心の演奏会に なりました。また左手ということに、興味も多少の疑問もあったようですが、 その言うことを忘れさせる音楽でした。 このコンサートがきっかけとなり、来年はウィーンでのリサイタルが計画中です。     
              
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Programm

Johann Sebastina Bach(1685 1750)
Tanscription vonJohannes Brahms (1833-1897)
   Chaconne D-moll BWV 1004

Alexsander Criabin (1871- 1915) 
  Prelude und Nokturn Op.9

Takashi Yoshimatsu(1953 - )
  Song of the Earth/Voice of the Wine(土の歌・風の声)
  Pirlrimage Humn(巡礼の歌)
  Interrupted Breeze(途切れがちな風)
  Horrible Memory(恐怖の記憶)
  Ringing Bell ist Going over(野を渉る風)

(Pause)

Frank Bridge(1879 1941)
  Three Improvisaionen

Coba(1959 - )
  Albero di Memoria il pianoforte alle manosinistra per Izumi Tateno ( 記憶樹 舘野泉に奉げる)
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2009年06月23日

舘野泉ピアノ・リサイタル2009

彼のための音楽を 彼が弾く Vol.3 2009  

舘野 泉 ピアノ・リサイタル
4ヵ国の作曲家による新曲
〜舘野泉左手の文庫(募金)助成作品〜
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画面クリックで拡大します!

12月1日(火) 19:00開演
東京文化会館小ホール

プログラム
P.エスカンデ:ディヴェルティメント(アルゼンチン)世界初演
C.ライト:アメリーのための組曲(アメリカ)世界初演
T.マグヌッソン:ピアノ・ソナタ(アイスランド)世界初演 ほか

6月28日(日)前売開始
ジャパン・アーツぴあコールセンター 03-5237-7711
http://www.japanarts.co.jp/


<全国公演日程> 
■11月17日(火)福岡:福岡アイレフ・ホール 福岡音楽協会  TEL 092-414-8306
■11月26日(木)札幌:札幌コンサートホール オフィス・ワン  TEL 011-612-8696
■11月29日(日)大阪:イシハラホール 大阪アーティスト協会 TEL 06-6135-0503
■12月01日(火)東京:東京文化会館(小) ジャパン・アーツ  TEL 03-5237-7711
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